火山噴火警戒避難対策事業

雌阿寒岳の火山噴火警戒避難対策事業の流れ

 北海道では、平成5年度より、火砕流や火山泥流、溶岩流、降灰などの火山噴火に伴う土砂移動現象による災害から人命を守るために、『雌阿寒岳火山噴火警戒避難対策』を検討しています。
火山噴火警戒避難対策事業は、火山活動や土砂流出の監視、情報伝達を行う施設を整備していく事業です。

平成5年度調査
地域の概要把握
自然・社会条件調査
噴火土砂移動実績調査
噴火履歴調査・火山地質図作成・荒廃状況調査
現地調査
火砕流地表調査
平成6年度調査
雌阿寒岳監視システム調査検討会
平成7年度調査
現地調査
ボーリング調査・トレンチ調査等
噴火履歴と規模
噴火史・噴出量の検討
第1回雌阿寒岳火山噴火警戒避難対策
検討委員会
平成8年度調査
現地調査
火山灰調査・トレンチ調査・樹木調査
近年の噴火・中マチネシリ火砕流の解明
分析・測定、噴火史の復元
第2回雌阿寒岳火山噴火警戒避難対策
検討委員会
平成9年度調査
対策の対象となる現象の種類と規模の設定
火山災害予想区域図の作成(平成10年5月公表)
火山災害監視システム配置計画の検討
第3回雌阿寒岳火山噴火警戒避難対策
検討委員会
平成10年度調査
監視システム機器配置計画の詳細検討
優先整備箇所の検討
優先整備箇所の電波伝搬試験
第4回雌阿寒岳火山噴火警戒避難対策
検討委員会
平成11年度以降
監視・観測施設設計と設置工事(平成11年度~)
監視カメラ・土石流検知センサー・雨量計など
火山災害監視ワーキング(平成11~12年度)
北海道大学・北海道開発局・気象庁
情報共有化(平成13年度~)
北海道開発局
情報提供、活用(平成18年度~)
関係市町村、北海道開発局、気象庁など

雌阿寒岳の噴火史解明のための調査

ピット掘削調査  雌阿寒岳山麓一帯に露出している火山灰層の観察を行ったほか、50カ所におよぶ調査用のテストピットを掘削して火山灰の観察と分析を行いました。その結果、最近の約1,000年間の雌阿寒岳の噴火を起源とする29枚の火山灰層が確認されました。これらのほとんどは今回の調査によって初めて確認されたものです。
広域火山灰調査  日高山脈の西麓から十勝平野、摩周湖周辺に至る地域について現地調査を行い、北海道駒ヶ岳や樽前山、摩周火山の火山灰を観察して、雌阿寒岳周辺の火山灰との比較を行いました。その結果、雌阿寒岳周辺には、朝鮮半島の白頭山の噴火で飛来した火山灰や北海道駒ヶ岳、樽前山、摩周火山の火山灰が、雌阿寒岳の火山灰と重なりながら分布していることがわかりました。
トレンチ調査  谷沿いの地域でトレンチ(溝)を掘削し、火砕流や泥流の分布を詳細に調べました。その結果、いくつかの地点では火砕流や泥流の発生年代を知る試料となる炭化した木片や生木がみつかり、「数百年前にあったらしい」と言われていた泥流の発生が初めて確かめられました。また火砕流が発生した後には、何回も泥流が発生していたことがわかりました。
火口壁調査  ポンマチネシリの火口近傍で詳細な調査を行い、近年の噴火によるポンマチネシリの噴出物を確認して山麓の火山灰との比較を行いました。その結果、ポンマチネシリでは最近1,000年間に爆発を繰り返しながら、約700年前には旧火口、400数十年前には赤沼火口を形成し、1856年以降にも小規模な水蒸気爆発が10回以上あったことがわかりました。
ボーリング調査  火山噴火に伴う土砂流出の規模を知るためにボーリング調査を行い、電気探査の結果も併せて火砕流や泥流の厚さを調べました。その結果、火砕流は大きく3種類に分けられ、噴火後には泥流も繰り返し発生していたことがわかりました。
樹木調査  火山噴火の証拠となる森林の植生変化を調べるため、林相や樹林の年輪の調査、花粉分析などを行いました。その結果、この数十年~200年間には山麓の広範囲に植生の大変化をもたらすような噴火を示す証拠は見出されませんでした。

学習